陣痛待ちと親の事
陣痛を病室で待ってるときに、助産師さんに
「タバコ、吸ってる?」
と言われた。
「いえ、吸ったことないです…」
「あら、そう?でも臭いがあるから…」
私はほんっとーに生まれてから一度もタバコ吸ったことない。けど、そういわれる心当たりはあった。
里帰り先の、実両親。
実家の両親は分煙なんてなんのその、子供の前でも平気でプカプカタバコを吸う。
臭いが服や、荷物に移る。
そのせいで中学の時等も喫煙してるんじゃないかと注意をされてた。
さすがに里帰りしてからは分煙はしてくれていたけど、正直モヤモヤはしていた。
禁煙しろとは言わない、けどせめて玄関外で吸ってくれないかな、でも里帰りしてお世話になってるし言えない…
助産師さんは両親と話をしたほうがいい、このままじゃ赤ちゃんに良くない!と。
私はそんなこと分かってるけど、うまく言えないんです、と泣いてしまった。
でも、こんな気持ちでいて陣痛なんてくるんだろうか?
ずっとモヤモヤしてた。もうそろそろいいんじゃないか?我慢するのはやめにしよう。
そう思い、すぐに母に電話をした。
助産師さんにタバコのことをいわれた。
私も母親になる、赤ちゃんは守りたい、タバコやめろとは言わないけど、今のままじゃやっぱり里帰りはできない。
壁だって家具だってヤニだらけじゃないか、そんな環境で赤ちゃん育てたくない、本当に今さらで申し訳ないけど、どうにかしてほしい、それが無理なら赤ちゃんつれていけない。
自分が親になる、ってなって私は大好きだったお酒もゲーセン通いもキッパリ辞めた。
赤ちゃんの事を思えば当たり前の事だと思ったから我慢できた。でも私の親はそうじゃなかった。
私がお腹にいたときも両親は喫煙していたし、飲酒もしていた。
生まれてからも、記憶のある限りレストランは喫煙席だったし、泥酔する両親を見たことも幾度となくあった。
あの頃は比較的許されてたと聞いてたけど、それでも否定的な意見の方が、多かった。
タバコ以外でも色々思うことはあった。(ここかでは直接関係ないから割愛するけど)
でもそれでも私のお母さんは、お父さんはひどくなんかない、
私は愛されていたって思いたかった。
ここで、私の気持ちが受け入れてもらえなかったら、否定されてしまったら?それが本当に怖かった。
母は私の話をきいて、そっか、そうだよね、じゃあ出来る限り掃除する、タバコも辞める、ごめんね、と謝ってくれた。
もしそれでもあなたが納得できないなら、無理して里帰りすることない。それを負い目に感じる必要はない、と言ってくれた。
本当にホッとした。
私は愛されてなかったわけじゃない、両親はずれてるところもあるし、かなり変な人たちだけど、そういう人達なだけ。
いまだからの気持ちじゃなくて、昔からずっとモヤモヤしていたこと、それがすこし、ほんのちょっぴり解決した。
里帰りは赤ちゃんが生まれてどうするか決めることにした。
いくら掃除するっていっても実家は古いしそんなすぐに臭いや汚れがとれるとは思わなかったし、
幸い関係が良好な義実家も近かったのでもし無理ならそちらに里帰りすることにした。
そうこうしているうちに時間どんどん経つ。けれども陣痛は一向にやってくる気配はなく…
それらしきものを感じたのはその日の夕方になってからやっとだった。